再開胸の心臓麻酔には落とし穴がいっぱい!
今回は落とし穴をわかりやすく説明します。麻酔中に思い出して頂ければ嬉しいです。
人工心肺はどうやって?
CTで胸骨と心臓の距離や癒着していないかを見ておきます。
正中切開で無理に癒着を剥がそうとすれば、右房や右室の薄い壁が裂けてしまいます。
その危険がある場合は、FF(femoral artery-femoral vein)でまずは人工心肺に乗せて、自分の脈圧を取った状態、
つまりFFのフローを上げますと、心臓は小さくなり自己圧がなくなります。
その状態で正中から剥離を進めます。
また、MICSが出来るチームは肋間からのアプローチも有効です。
左室の収縮が悪い場合にはLVベントが必要
左心機能が悪い場合、剥離中にvfになると心臓が膨らんでしまい、最後の離脱時は収縮できなくなります。
また、不整脈が止まらずに人工心肺から離脱できません。
また、心臓がひどく損傷した場合には冷却して循環停止にする場合にはどこかで、vfになりますので、
この場合にも、ベントが入っていないと心臓が膨らんでしまいます。
麻酔科医の判断としては
心機能を見て、ベントが必要かどうか?
ベントが入るまで、vfにしない技術が必要となります。
どうしてもLVベントが入れる前にvfや循環停止になった場合、エコーで左心室の膨張具合を見ます。
かなり張ってしまっている場合は、人工心肺からの離脱は困難を極めます。
カテコラミン、特にドブタミンやボスミンを使用するのが一般的ですが、今度は不整脈の嵐に見舞われます。この状況が予想される場合は初めからミルリーラを使ってみて下さい。不整脈の発生は少なくなります。試してみて下さい。
止血戦略
再手術の場合には癒着が多く、剥離面が多いため、じんわりとした出血が続きます。
希釈式自己血
止血目的であれば800cc必要とされていますので、可能なら800cc採取しましょう。
もし400ccしか取れない場合には、あまり止血効果は見込めませんので、
無理に採取しなくても良いと思います。
心臓手術におけるANHで400mlと800mlをコントロール群と比較しました。
FFP コントロール群 8.5%. ANH400群 7.3%. ANH800群 3.3%
PC コントロール群 8.5% ANH400群 7.8%. ANH800群 3.4%
FFPとPCの使用量は自己血800mlぐらい採取できれば明らかに減らせます。
凝固因子のpoint-of-care
凝固因子と血小板数を測りながら、輸血戦略を練りましょう。
その際、人工心肺から血液をサンプリングする際、プレジア後だと血液が希釈されてしまっているために、
間違った値が出ます。
サンプリングするタイミングは、人工心肺のリザーバーのレベルが高くない時にしましょう。
ここが意外な、落とし穴です。
また、血液のpHが7.3以下になるとプロテアーゼが不活性化しフィブリノーゲンが機能しなくなりますので、まめに修正してアシドーシスを補正してください。
フィブリノーゲン値は230mg/dl 目標
フィブリノーゲン150mg/dlと200mg/dlで出血量を比較したところなんと有意差がありませんでした。
なぜならcut-off値が229mg/dlだったからです。
フィブリノーゲン製剤投与は有効か
フィブリノーゲン製剤を使っても出血量に違いはありませんでした。
このスタディから推測できることは、
凝固因子の低下のマーカーとしてフィブリノーゲンを計測する意義はあるが、
それ自体を補充しても止血機能は改善しない。
FFPを使って他の因子を補充しながら、フィブリノーゲン値を230mg/dlに近づけるのが理想である。
まとめ
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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